●陶芸との出合い 幼少時代から、いつも不思議な出会いに導かれているように感じています。陶芸との出会いもまた、不思議なご縁があってのことでした。工業高校デザイン科へ進学後、木工の授業に興味を持ち、京都精華大学の造形学科へ。
染色作家の先生のアトリエ解体をお手伝いしたご縁で、「君は、大きな石と向き合うよりも手先の仕事の方が向いているのではないか」との見極めをして頂き、先生の兄である陶芸作家の弟子へと導いてくださいました。
●作っているときの感覚、喜び 同じリズムで手びねりを続けていると「無心」になる瞬間が訪れます。幼い頃はマラソンで、高校時代にはデッサンで、大学時代には石磨きでと、それぞれの時代に「無心」を経験してきました。このような時間を持てることに感謝して作品作りを続けています。
手さばきの心がけとしては、手びねりで土を積み上げているときも風や光、エネルギーの流れを感じながら作品に取り入れるように積み進めてゆきます。初個展の数日後、作品のイメージの詩を送ってくださった方や、作品の前で舞踊を始める方、2時間程ひとつの作品の前に立ち鑑賞してくださる方も。
この様な出来事は「ものづくりをしてきて良かった」と、制作の喜びを感じた出来事です。また、ほとんどの展覧会では「作品にお手を触れないでください。」と書かれていますが、個展の際などに「触ってもいいですか?」と問われると「やった!」と成功した気持ちになります。
●印象深かった出来事 2013年5月、第24回「全国“みどりの愛護”のつどい」が三重県紀北町で行われました。この式典にご臨席された皇太子殿下(現:天皇陛下)の行啓記念碑をアーティスト・イン
- レジデンス(滞在型公開制作)という形式で制作させて頂くこととなりました。
同町での制作中、普段(兵庫県)とは全く違う高湿度の環境で半磁器土の乾燥がうまくいかず、何度も作り直して大変苦戦しました。「郷に入っては郷に従え」の教えが身に染みた、印象深い制作の思い出です。
●お手入れ方法や注意事項 陶器はガラスと同様「割れ物注意」です。1点づつ手作りのため、量産はできません。その反面、丁寧に扱ってくだされば半永久的に朽ちてゆくことはありません。器や花器については、「使うたびに育つ」と言われています。
使用による汚れやかけは、味わいや思い出として、お楽しみくだされば幸いです。
【陶芸作家 松本都子(さとこ)プロフィール】兵庫県福崎町にて、もち麦畑に囲まれながら半磁器(土)による作陶の日々。京展・日本陶芸展・皇太子殿下(現:天皇陛下)行啓記念碑制作・三重県「道の駅まんぼう」設置 他。作品に施される「千刻砂子紋(せんこくすなごもん)」は作者のオリジナル技法です。
器や花器、アクセサリーなど…日々の暮らしに添えて頂けますとうれしいです。